芸術大学で得られる5つのメリットとは?
こんにちは、大阪芸術大学を卒業して、現在Webデザイナーの仕事をしている小幡です。
大学全入時代と言われ、大学の選択も自由になりつつある昨今、芸術大学に進むメリットとは何か?について、私が過去を振り返りながら記事にしてみます。実体験なども多く含みながらお話できれば良いかなと考えています。
高校を卒業した後は、色んな道が開かれていると思いますが、私の時代はネットを見渡してもそれほど情報がありませんでした。今の学生には少しでも公開のない進路選択をして頂ければと思います。
これから芸術大学を目指そうと考えている、あなたの参考になれば幸いです。
結論から言うと、5つのこと全てに「自由」というキーワードが含まれると思います。
結論、「自由」が手に入る
そうですね。簡単に説明してしまうと芸術大学には「自由」があり、その「自由」のレベルも他の学部では類を見ないほどだと思います。ここからは大学によって異なってくるかもしれませんので、私の経歴なども紹介しながら、説明していきます。
芸術大学と美術大学の違いとは?
私は大阪芸術大学を卒業しました、まず、芸術大学の呼び方には関西と関東で大きな違いがあります。
詳しくは関東の大学を卒業された方に聞くことがベストだと思いますが、私も一応予備校は関東だったので、その時の情報でお話すると、
東京藝術大学だけが、芸大。
その他は、美大。
という話し方をしていました。
つまり予備校生の中では、東京藝術大学を目指すのか、それ以外を目指すのかでは、天と地の差があったのです。
東京大学だけを、東大、と呼ぶようなものでしょうか?
ですが、関西は違います。
関西ではそんな小さい事で議論はしません。在学中1度も話題になりませんでした。
そもそも大阪芸術大学の場合は、学部が芸術学部なので、やはり芸大なのでは?
というのが私の持論です。「美」という文字が使われていません。
なので以下では「芸大」という言葉を使います。
芸大で手に入る自由とは何か?
前置きが長くなりましたが、本題である手に入る5つの自由とは何か?について話していきます。
大学生と言うと、高校の授業とは違い、自分で好きなようにカリキュラムを組んで、出たい授業にでて、面白くなければ単位を落としながらも、なんとか教授に頭を下げ、卒業していくというイメージがあるかもしれません。
特に理系の大学などでは、授業が進めば進むほど講義が難しくなったり、レポート提出が大変になったり、最終的には卒業論文で1年を費やすということもあるでしょう。
芸大は、それがほとんどありません
つまりその大変な授業対策に追われる時間が、芸大では全て自由に使えるということです。
1、講義が簡単
これは大学によって異なると思いますが、東京の有名美大や芸大以外は、全て講義が簡単だろうなぁと思います。なのでレポート提出もすぐに終わりますし、課題で困ることもないかと思います。
なぜそんなに講義が簡単なのか?
それは入学してくる学生のレベルが恐ろしく低いからです。
と言っても、英語では「This is a pen.」が理解できないと大変かもしれません。
もし「This is a pen.」がわからない場合はしっかりと講義を受けて頂くことをお薦めします。卒業後は何かと英語が必要になります。というか、英語が出来るだけで生きていける可能性が格段に広がります。
海外の方がArtに関わる助成金が日本より多かったりしますので、色々と英語圏を調べてみると良いかもしれません。
話が脱線しました。もとに戻すと、大学には必須科目があり、必ず受けないと卒業できない科目があります。
その一つが上記の英語だったりします。おそらくセンター試験で全科目5割取れていれば、必須科目のレポートで困ることはないと思います。ちなみにご存知かもしれませんが、センター試験5割レベルでは、東京有名美大には合格できません。
2.レポートが簡単
必須科目には「日本美術史」的な科目も設けられているかと思います。
私が在籍していた頃の教授は講義終了後にレポート提出を課題としていましたが、B5の紙1枚が全員に配られ、5分ほどかけてレポートを書くというスタイルでした。
ということで、「日本の美術の歴史の深さに感動しました。今回の講義で改めて勉強し直そうと思いました。」と小学生並みの感想文が書ければクリアできます。
漢字がわからなければ、スマホを使う学生が多いです。というより、ちょっとしたレポートになると、PCで文章を書いて提出になったりします。
また、友達関係を上手く構築できる優秀な学生であれば、終わりの10分前に教室に入り、友達から授業概要を聞き、レポートを提出するという学生もいたとかいないとか。
レポートというか課題提出の際は、芸大なのでスケッチやデッサンだったりする時もあります。映画の感想なんて言うときもありました。これが大変だと思う人は芸大に向いていないかと思います。
驚いたことにデッサンが苦手だ、ということで2,30分鉛筆がまったく動かない学生がいた時は驚きました。しかし彼の話を聞くと、描いたり何かを作ることは苦手でも、見たり聞いたりするのはとても好きなのだそうで、確かにそういう人がいてもおかしくないなぁと考えさせられました。
3、講義中の離席・着席が自由
これは他の大学でもあることかもしれません。悪いことでもあるかもしれませんが、良い事でもあるなぁと思っていたりします。
というのも、私は胃腸が弱く、90分の講義の最中に1度や2度はトイレに立つことがあったからです。
高校時代は、全員が当たり前のように椅子に座っていたので、「先生、おなか痛いのでトイレ行ってもいいですか?」というのが死ぬほどつらかったです。
また私は工芸学科の陶芸を専攻していたため、窯の温度管理を1日かけて行わなければならなかったりしました。90分絶対に外出禁止となると、窯の温度が大きく変動してしまう可能性などが出てきます。油絵専攻の学生だったら、油の乾き具合などが重要だったりするかもしれません。
このような芸大特融の事情を考慮してくださった結果、自由な授業風景が生まれていると考える事にします。
この自由は本当に良かったなぁと思います。
最近はセキュリティの観点からも外部からの人や、講義を選択していない学生は教室に入れないという話も聞きますが、有名人が来た時や、興味のある講義に一回だけ出るという事が可能でした。
さすがにピアノレッスンの授業や、映画撮影の授業には参加できませんでしたが、上手に教授や学生のネットワークを作る事ができれば、参加可能だと感じます。
私は吹奏楽部に入り、プロの先生からブレストレーニングをしてもらいました。
芸大の大きな価値はそんな自由から得られるものだと思います。
4、卒業論文を提出しなくても卒業できる
芸大には卒業制作という課題があります。
これを提出することで、卒業論文を書かずに卒業することができます。
陶芸専攻で言えば、お茶碗を作って卒業制作とすることも可能です。
なので、最短1週間で成果物を提出して卒業、ということも可能といえば可能です。
やはりここでも芸大ならでは、寛大さがあるからこそできることかと思います。
教室に来て席に座り、ただ黙々と何かを作ったりしているのならば、そんなことはロボットにでもやらせておけば良いと私は思います。実際に大学には高価な機械が導入されており、自動化進んでいます。
陶芸専攻で言えば、焼成用の窯は電気窯があり、温度盛業もデジタル化されています、MacBookにデータを転送したりもしていたので、窯の前にいる必要すらなくなります。
釉薬は通常乳鉢などで調合し、スリ合わせる作業が必要ですが、電動乳鉢や大型のミルも導入されており、自分で長時間かけてスリ合わせる必要がありません。
などなど、人の手を加える作業がどんどん減りつつある現代陶芸。人がすることは教室に座り、黙々と作業することではないとも言えます。
卒業制作とは芸大の自由を使って、何を考えたかが重要なのかもしれません。
なので、自由を存分に使いましょう。
5、学生というポジション
これは芸大生にならなくても、高校生でも、他大学生でもそうですが、美術館などの施設にはいる料金が割引だったり、会社見学をさせてくれたり、留学を考えてみたり支援があったり、ちょっと悪さをしても怒られて済むこともたくさんあります。
そのポジションを一番有効活用できるのが、芸大生だと思います。
なぜなら自由度がとても高いからです。
もちろん、大学が作ったカリキュラムに沿って、1つひとつこなしていくのも、学生の姿ではありますが、クリエイティブな仕事をするからこそ、色んな視野を広げて、様々なチャレンジができる学生というポジションをフル活用できるとおもいます。
何をやっても許されるという訳ではありませんが、それくらの自由度を獲得できるのが芸大生です。
そして、その自由を共有できる仲間もたくさんいますので、孤独でふさぎ込むようなことも少ないかと思います。
コロナの影響で入学したての大学生は大変だという話を聞くと、悲しみしかありません。早く終息に向かい通常通りの学生ライフをおくってもらいたいと切に願います。
デメリット
簡単にデメリットもまとめてみますが、恐らくあなたも既にわかっているかと思います。
自由すぎる
授業中もノイズが酷かったり、必須科目なのに、教室にだれもいなかったり、真面目にレポート書いてるのに、となりの学生は1行しか書いていなかったり・・・。
芸大ということもあり、真面目に生活する人は辛い想いをするかもしれません。
毎日自分からハプニングを起こすような人には天国かもしれませんが、それを受ける側に回ってしまうと地獄の様な日々になる可能性もあります。
もしあなたが入学した大学が自由度の高い学校ならば、あなたも自由な海のように広い心でのぞむ必要があるかもしれません。
学費が高い
国立の芸大は、東京藝術大学しかありません。
公立大学は、競争率が高いので、入試が大変かもしれません。
そしてほとんどの芸大は私立です。学費が高いです。
私が高校生の時には医大の次に学費がかかると教えられました。
事実、授業料だけでなく、画材費や材料費がかかります。制作をしようと思えば思うほどかかります。
陶芸は材料が土だったりするので、安上がりですが、釉薬によっては貴金属を混ぜてみたり、金属を専攻にすれば、材料によっては莫大な資金が必要です。
とにかく高いですが、さらに講義の内容もそんな感じなので、授業料のコスパは高すぎます。
まとめ
芸大に進学することで得られるものは「自由」です。
あなたは本当に芸大に進学したいですか?
それを今一度しっかり考えて、高校生であるのならば、その想いをしっかりと両親に説明できるくらいにはならなければなりません。
そうでなければ、もし大学に進学したのは良いけれど、何の成果もなく中退したいということにもなりかねません。それはあなたにとっても非常に残念なことですし、資金提供してくれた方々も残念な思いをさせることになります。
最後に
芸大進学はお金がかかります。
あなたがしたいことは何ですか?
もしも明確にやりたいことが決まっているのであれば、大学進学以外の道をも模索してみるのも良いかもしれません。
大学に進学するにしても、公立の理系に進学し、将来を担保しつつ趣味でやりたいことをやるというのも立派な道の1つだと思います。
陶芸に関して行っても、技術を教えてくれる施設ならたくさんあります。電動ろくろを極めたいという職人気質の方には、大学は向いていないと思います。職人養成機関にちて調べてみる事をお薦めします。
恐らくあなたには情報が不足しています。
まずはもっとたくさんの情報収集されることをお薦めします。
少しでも良い道筋が見つかることを願っています。